Friday, June 13, 2008

比較:フランスとイギリスの医療制度

ここ1-2ヶ月ほどお医者に行けるようになりました。夫の健康保険の扶養に入るのに年末から申請して登録までに3-4ヶ月も掛かってしまい、行きたくても先送りになってしまったのです。

国々によって制度は異なりますが、フランスの医療システムはイギリスと比べると断然良いと思います。

フランスもイギリス同様、最初に地元で登録している主治医の検診をしてもらい、必要であれば専門医を紹介してもらうのが一般的です。お薬は処方箋を持って薬局で受け取ります。
血液検査などの検査は、街の至る所にあるラボで待ち時間もなく受けられ、結果も2-3日で分かります。その結果を持って専門医へ戻り、分析をしてもらい、必要な手当てを受ける仕組みです。

国民保険(Sécurité Sociale)を使っての検診、処方箋などの費用は国民負担分はまちまちです。国民保険証はクレジットカード式になっていて、全額支払った後何割かが払い戻しされるシステムです。もしプライベートの医療保険に加入していると、その負担部分をカバーしてくれます。我が家はプライベートにも加入しているので、100%国と保険会社でカバーしてくれる事になります。

イギリスでは主治医の診察に最低1週間待ちと言う事も度々あり、風邪程度だと市販の風邪薬で済ませてしまうと言う事も多々ありました。フランスのようなラボ等はなく、医師の問診が主で、検査を大してしてくれないのでかなり不安な事もありました。(血液検査は12年いて一度もありませんでした)
足首を骨折した折は、緊急医療も受けたのですが、それは迅速な対応をしてくれすごく良かったと思います。イギリスは医師、専門医の診察は国民健康保険(NHS)を通せば全て無料で、処方箋はお薬1つに付き7ポンド掛かります。薬を何種類ももらうと、すごい出費になります。
その昔は薬も無料でしたが、10年程前から導入され年々高額になっています。

このNHS慢性的な問題があります。NHSを通して専門医に掛かれるまでの待ち時間が長すぎるのです。と、言うのもプライベートで保険に入っている人が優先的に、待ち列に割り込めるという不公平が起きているからです。(病院、医師がNHSとプライベートの両方扱っている場合です)
悪い言い方をすれば、金持ちは早く診察がしてもらえ、貧乏人は後回しとでも言いますか。
ちなみに私の経験では、昔主治医からロンドン北部にある病院内の皮膚科の専門医を紹介してもらいましたが、最初の診察が受けられるまでに3ヶ月待ち(しかも手紙で病院が指定した予約日時)、待っている間、数回日時変更を通知する手紙が届きました。やっとの事で初回の診察を受け、帰り際に次回の予約を3週間後としました。その後また変更の通知レターが届き、3ヵ月後、6ヵ月後と冗談無しにコロコロ時間が変わるので、結局きちんとした診察が受けられないまま数年経ち、結局会社のプライベート保険を通じてすぐに診察してもらえた。という事です。
NHSは悲惨な程の赤字経営らしいですが、予約日時をコロコロ変えた為に発生する郵便料金も無駄遣いだなと思います。こういう事が原因で、深刻な病気の発見が遅れる事も多々あるそうです。

フランスは医療費が全額無料ではないけれど、大抵の病気は検査施設の分析結果で判断できるので、効率が良いんだと思います。(役所は効率悪そうなんですけど)
国民が同じシステム内で順番を待つので平等に見えます。
それなりにフランスにも問題はあるそうですが。。。

今年初めに「Sicko」というマイケルムーア監督作品のドキュメンタリー映画を観たのですが、ちょっと怖い映画でした。アメリカはニクソン大統領時代に国が負担する健康保険制度を廃止したそうです。義務付けではなくプライベートの保険加入を薦めていますが、大抵の国民は非加入だそうで。
ドキュメンタリーは、営利目的のプライベート医療保険会社で働いている関係医師、スタッフのボーナス支給に関わる為、加入者になんらかの理由を付けて支払い拒否する為、家を売却して医療費を工面するがん患者などアメリカの現実問題を、欧州の医療システムと比較した映画でした。日本は健康診断など病気を早期発見する為の仕組みが、ちゃんとしていますが、そういうシステムがある国は稀みたいです。

ところでフランスの眼科専門医は、すごかったです。検査機械が全てコンピュータ化されていて、いままで見た事がない程の最新設備。フランスに来てからアレルギーが酷くなって、コンタクトレンズが使えなくなってしまいました。先生からはコンタクトはしない方が良いと、視力矯正のレーザー手術を勧められています。色々お友達から意見をもらいましたが、その手術は保険がカバーしてくれないので悩む所です。

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